足場では、ときに不安定な場所で使用することもあります。
たとえ仮設であっても鋼管などの部材を設置するには、作業員の体重を超える荷重がかかったとしても安全に運用される必要があるのも事実です。
そこで今回は、足場の補強として知られる建地の補強と火打ちについてどのようなものなのかを紹介します。
建地で地面と足場を補強する
建地とは、足場の地面と垂直に立てる部材のことをいいます。
この部分を補強することで足場の安定性を高められます。
ここでは、間隔やどのようにして補強するかについて解説しましょう。
建地には間隔が定められている
足場は安全確保のためにさまざまな基準が設けられています。
建地を設置する間隔もその一つです。
まず、一般的に用いられる鋼管の場合は鋼管の建地同士を1.8メートル以内の間隔にすることが必要です。
次に旧来用いられている丸太タイプの足場では、2.5メートル以内と、若干広めになっています。
このように素材によって間隔が異なりますが、最近はくさび緊結式足場や枠組足場など金属系の足場がほとんどなので、1.8メートル以内と覚えておくと良いかもしれません。
建地の補強で足場の補強を図る
建地はあらかじめ固定した脚部から伸ばして、高度を上げていきます。
そのため、建地の高さを上げる場合は、高くするという言い方ではなく伸ばすという言い方をします。
このような設置をしていくため、伸ばすたびに求められる安定性が高くなっていくのも事実です。
そのため、労働安全衛生規則と呼ばれる法令では、建地の最後部から測って31メートルを超える部分の建地については、補強をしなければならないと定めています。
その補強内容として鋼管を2本組にすること、つまり建地を2本で補強することが求められます。
くさび緊結式足場では31メートルを超えるときにこのような措置が必要で、枠組足場では45メートルを超える場合に同じような措置が必要です。
ただ、建地の補強については設計荷重が許容支持力を越えなければ補強する必要がないとされています。
なお、設計荷重とは、次のような計算式で求められます。
設計荷重=場の重量に相当する荷重+作業床の最大積載荷重
また、許容支持力は次のようにして求められます。
許容支持力=当該建地の破壊に至る荷重/2以下
つまり「設計荷重<許容支持力」になっていれば補強は不要です。
火打ち:コーナー部分を支える補強
火打ちはコーナー部分を支える補強です。
足場の上部のコーナー部分に設置するもので、単管パイプを使ってコーナーへ斜めに固定するためちょうど上から見ると三角形に見えます。
この三角形の形が火打石の三角形に似ていたことから火打ちという名称がつけられたとされています。
1階の床に設置するものを火打ち土台、2階などの床や小屋組みに設置する火打ちを火打ち梁と呼び、呼び方を分けているのが特徴です。
壁つなぎも重要な補強手段
壁つなぎは足場を壁に固定する金具のことです。
これを設置することで、足場の安定性が一気に増します。
そのため、労働安全衛生規則570条に規定が定められており、たとえばくさび緊結式足場の場合、二階層と横に3スパンの間隔以内に設置するとされています。
ただ、注意点として足場を解体する際に安易に壁つなぎを外した場合、倒壊の原因になることもあります。
そのため、壁つなぎで補強された足場の解体は、慎重に行い、足場を撤去してから残った壁つなぎを取り外すのがポイントです。
まとめ
くさび緊結式足場など、現場ではさまざまなタイプの足場が使われ、間隔なども若干異なるケースが見られます。
そのような足場の種類に限らず、足場を施工する際には安定を確保するために補強することが重要です。
今回は、補強の代表的な二つの方法について解説しました。
さらに足場を壁などに固定する壁つなぎなどについても触れました。
いずれにしても基準を守り適切に補強をして、安全に足場工事を進めていくことが重要です。