高所での作業となる足場では、資材の落下や作業員が墜落するリスクを未然に防ぐための措置が必須です。
足場における落下事故を防ぐため、幅木や安全ネットの設置は労働安全衛生法により義務付けられています。
この記事では、足場作業における墜落や落下を防ぐための幅木と安全ネットの重要性を詳しく説明します。
足場工事について知識・理解を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。
幅木とは
幅木とは、高所で工事中の作業員や工具、資材の落下を防止するために足場の床面に取り付けられる部材のことで、「第1種(I型幅木)」と「第2種(L型幅木)」の2つがあります。
高所での建設現場において足場は必要不可欠なものですが、風の影響を受けやすく、過去には強風による足場の倒壊災害が起こることもありました。
倒壊や落下を防止するため、枠組足場においては交差筋交いと共に、幅木や桟(さん)の取り付けが労働安全衛生法によって義務付けられています。幅木を設置する際は高さを最低15cmに設定し、可能な限り高めにすることと規定されています。
また、落下物の防止用としては、高さ10cm以上、作業者の安全を確保するためには15cm以上の高さの幅木が必要です。
幅木の代わりに、メッシュシートや防網など、落下防止の機能を持つほかの安全設備を使用することも認められています。
安全ネットとは
安全ネットとは、足場に対して水平に設置されるポリエステルやナイロン製の落下防止ネットのことで、ラッセルネットや水平養生ネットとも呼ばれます。足場から資材や工具が落下するのを防ぐことが、安全ネットの役割です。
足場の床と健地にある隙間は12cm未満と定められていますが、この隙間であっても資材や工具が落下する危険性は少なくありません。
作業中の事故を回避するためにも、安全ネットを設置することで隙間を埋め、落下防止策を施すことは非常に大切な作業です。
足場作業床の安全基準と墜落防止措置
高さが2m以上に及ぶ足場の作業床では、安全措置の一つとして、一側足場や吊り足場を除き床材と基礎面との隙間を最大12cm以内に制限することが規定されています。
また、安全性を高めるために作業床の幅は最低でも40cmが必要とされ、工具や小さな部材が落下するリスク軽減のため、床材間の隙間は3cm以下と設定されています。
足場作業における安全対策は、単に作業員を保護するだけでなく、作業現場の全体的な安全性と効率性を高めるためにも重要です。
安全規則の遵守は、作業員個人だけでなく、作業現場の管理者にも大きな責任があります。管理者は適切な教育と訓練を実施して、作業員が安全対策を理解し、実践できる環境を整えることが不可欠といえるでしょう。
また、足場の設置と使用に関する法律や規則は定期的に更新されることがあるため、最新の安全基準を確認し、従うことが重要です。
足場の安全管理は欠かせない
今回は、足場の安全を確保するための幅木と安全ネットの使用について解説しました。
労働安全衛生法では、今回の内容以外に「足場組立のあとには発注者による検査を実施すること」といった安全基準が設けられています。
足場から作業員が転落したり部材や工具が落下したりすることは、重大な事故につながる恐れがあり、周辺の住民や通行人にも影響を及ぼす可能性があります。建設現場において、厳しい安全措置の実施は必須といえるでしょう。
厚生労働省は、足場の安全性を促進するためにさまざまな安全基準を設けていますが、残念ながら安全規則に反した事故は依然として発生しています。
安全な足場作業のためには、法的な規制を遵守し、関係者全員が安全意識を高く持つことが重要です。